有料老人ホームは価値あるサービスを割安に購入できる優れものです。
ところがそのサービス内容は、各ホームによって異なり、それを理解することは、老人ホームの設計経験がある、建築経験がある、介護ヘルパーである、ケアマネージャーである、税務や会計業務を行っている、という介護事業の一部に関わるプロ達にとっても困難なことです。
こんなややこしいことを利用者は理解することができるだろうか?きちんと説明してくれる紹介業者はいるのだろうか?
プロにも難しい?!でも本当の話です。
有料老人ホームと、一言でいっても・・・
有料老人ホームを次のように分類してみます。これは正式な分け方ではありませんよ。でもこのほうがわかりやすいので。
1.元気な高齢者(ちなみに高齢者とは65歳以上のことです)向けのホーム。入居後に、要介護状態になった場合は、退去しなければなりません。
2.入居時元気な方から、要介護の方まで。このタイプは要介護状態になっても継続利用できます。
3.要介護の方専門のタイプ。
※そして、2と3は、それぞれホーム内のスタッフが介護をするタイプとホーム外の事業者に依頼して介護を行う場合があります。(現在はホーム内スタッフが主流。H18年からホーム外の事業者が法律上可能となりました)
補足:そもそも高齢者の面倒をみる施設(有料老人ホームは“施設”ではなく“在宅系”と介護保険では、分類しています。あーこれだからわかりにくい)には、いろいろありますが、
介護保険法上、施設系サービスというのは、
1.旧特別養護老人ホーム=現在の介護老人福祉施設
日本国憲法で、保障される最低限の生活水準を実現する福祉的目的で設けられたもの。したがって対象は、身寄りのない方や、経済的弱者ということになります。ただ、以前は、措置法といって自分で選択はできず強制的に保護という仕組みでした。しかし介護保険法は、自分で選択する=自己責任という考え方ですから、性格はかなり変化してきました。
一番の変化は、財政的な意味から、現在は、食費と住居費が自己負担に変わったことです。
2.旧老人保健施設=現在の介護老人保健施設
医療機関での医療処置が終わった方のリハビリを担当する役割です。中々、本来の役割が果たせていませんが・・。
3.介護療養型病床
医療機関つまり病院なのですが、医療保険ではなく、介護保険適用の病院。(同じ療養型でも医療療養型は、医療保険適用の病院。)かーわかりにくいですよね。説明してても嫌になります。しかもこの形態は数年後に撤廃(無くなります)が決定しています。
これら3施設は、要介護度でいえば3、4、5という重度の方を対象としています。これらは有料老人ホームではありませんよ。
有料老人ホームの基準
有料老人ホームは、元々公的福祉的施設に満足できない富裕層対象の民間施設ですから、基準などというものはありませんでした、いえ正式には老人福祉法に申し訳程度に規定はされていますが。基本的には運営者と入居者の自由契約。
ところが、時代が移り、高齢化社会の到来とともに介護保険法がH12年に施行されると、有料老人ホームの一部が介護保険適用の在宅系サービスに組み入れられました。そう一部だったためにかえって混乱をまねいてしまいました。そこで見直しを行い、H18年度の介護保険法改定で、ようやく全ての有料老人ホームに網掛けができる準備が整いました。
基準には人員配置基準と施設基準、いわゆるソフトとハードの基準があります。しかし、この基準が先ほどの3施設やグループホーム(認知症+要介護者のための高齢者ホーム)とも異なるためにこれまた一般の方には大変にわかりずらいものです。
しかも各都道府県毎に、有料老人ホーム設置基準が設けており、東京都の数箇所の区には独自に基準が設けてあります。
有料老人ホームを選択する際、最低限のサービスの目安となる、この法的基準をどうぞ事前に自治体に問い合わせて確認してください。あーそして最もややこしい事態はこの時にやってくるのです。どういうことかといいますと、設置基準も、時代とともに見直され、介護保険法も3年に1度大きな改正があり、細かい改正は随時行われています。ところが、法律というやつは、不遡及の原則といって、改正前に指定をうけたホームには、即適応されません。基準によって、経過措置といって一定期限を設け、期限までに改正後の基準にしなさいというものや、特に経過措置も設けず旧基準のままで許されるものもあります。
わかりにくいですね。でも日本という国は、こんな国です。例えばH18年2月に大騒ぎになった、耐震偽造事件!耐震基準を誤魔化していることが大問題となったわけですが、この耐震基準にしても、昭和56年改正ですから、それ以前の建築物には、いまだに適用されていないことはご存知ですか?昭和55年築といえば、まだ築26、7年程度。現在の耐震基準を満たしていない建物がそこらじゅうに建っているということです。
これでもわかるように、単純に都道府県より指定を受けましたというだけでなく、現在の基準に適合しているかどうかは大切な視点ですよ。
しかし建物を建てたあとに、次々に施設基準を変更されて、廃止の憂き目にあっている医療機関が多いことも事実です。現在のどの基準に適合するよう変更したのか、それによって財務体質に見過ごすことのできない痛手を負っていないか、という視点も同時に必要です。
ここまで見てきたように有料老人ホームというのは実にわかりにくいのです。どうしても有料老人ホームへ入居したいとお考えの皆さんは、なるべく時間の余裕のあるうちにこのホームページで勉強していってくださいね。また、あちこちで勉強会も実施していきますので参加してみてください。なんといっても安くない買物ですから。
